金融占星術は当たる? 約100年分の株価で「転換日」を確かめてみた
「惑星の動きで株価の転換点がわかる」――そんな金融占星術は、100年近く前から投資家の間で語り継がれてきました。本当に当たるのでしょうか。今回は、アメリカのS&P500と日経平均の約100年分の値動きを使って、実際に確かめてみました。
金融占星術とは
金融占星術は、惑星の配置と相場の動きを結びつけて読む占星術の一分野です。代表的な2人を紹介します。
W.D. ギャン(1878〜1955)
20世紀前半に活躍したアメリカのトレーダーです。相場には決まった周期があると考え、木星と土星が重なる約20年の周期や、土星が一周する約30年の周期を重視しました。価格と時間を結びつける独自の線(ギャン・アングル)は、今もチャートツールに残っています。
レイ・メリマン
現代の金融占星術を代表する人物です。水星・金星・火星が逆行に入る日や順行に戻る日(「留」と呼びます)、惑星どうしがちょうど90度や180度になる日を組み合わせて、相場の流れが変わりやすい「転換日」を割り出します。転換日には前後3営業日ほどの幅を持たせるのが特徴です。
どうやって確かめたか
今回はメリマンの考え方に近い形で「転換日」を作り、本当に相場が反転しやすいかを調べました。
- 調べた相場:S&P500(1928年〜2026年9月)、日経平均(1970年〜2026年9月)
- 転換日:水星〜土星の留の日と、火星〜冥王星どうしがちょうど0度・90度・180度になる日(1970年以降で約1,460日)
- 相場の反転:前後2週間(10営業日)の中で一番高い、または一番安い終値をつけた日
- 比べ方:転換日の前後3営業日に反転が入った割合を、転換日をランダムな日にずらした場合と比べる
結果:転換日に効果は見られなかった
まず知っておきたいのは、普通の日でも、前後3営業日のどこかで相場が反転している割合は約40%あるということです。「転換日の前後で本当に反転した!」という話は、偶然でも10回に4回は起こります。
そのうえで、転換日の前後に反転が入った割合は次のとおりでした(1970年〜2026年)。
| 転換日の種類 | S&P500 | 日経平均 |
|---|---|---|
| 普通の日(比較用) | 39.5% | 40.4% |
| 水星の留 | 39.2% | 41.5% |
| 金星の留 | 54.3% | 40.0% |
| 火星の留 | 38.5% | 40.4% |
| 火星と木星〜冥王星の角度 | 41.2% | 38.7% |
| 木星〜冥王星どうしの角度 | 41.7% | 41.7% |
| 転換日すべて | 40.4% | 40.2% |
転換日すべてを合わせると、どちらの相場も普通の日とほとんど変わりませんでした。転換日の前後で値動きが大きくなる傾向も見られませんでした。
金星の留だけが目立った…が
S&P500では、金星の留の前後で反転した割合が54%と目立ちました。ただし、
- 日経平均では40%で、普通の日と変わらない
- たくさんの組み合わせを調べると、偶然でも1つくらいは目立つ結果が出る
という点が気になります。そこで、まだ使っていなかった1928〜1969年のS&P500で追試しました。結果は46%(普通の日は39.5%)。少し高めではあるものの、偶然で説明できる範囲にとどまりました。今回の検証では「効果あり」とは言えません。
おまけ:新月と満月
経済学の研究では「新月の前後のほうが、満月の前後より株価が上がりやすい」という報告があります(Dichev & Janes, 2003)。今回のデータでも同じ向きの差は出ましたが、はっきりした差とは言えない大きさでした。
まとめ:占星術は「タイミング当て」より「流れを読む」もの
- 惑星の配置から割り出した「転換日」は、約100年分の株価で確かめても、相場の反転と結びついていなかった
- 「当たった」という体験談の多くは、偶然でも4割の確率で起こる反転で説明できる
- 新月の効果は研究どおりの向きだが、差は小さい
占星術は、日付を当てて売買するための道具というより、時代や自分の流れをふり返り、考えるきっかけにするものと言えそうです。世の中の大きな流れを占星術で読む「世界の天体予言表」も、そうした読み物として楽しんでみてください。
※この記事は占星術の検証結果を紹介する読み物で、特定の金融商品の売買をすすめるものではありません。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
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